2020年、新型コロナウィルス感染拡大の懸念から、春夏ともに甲子園の開催が中止となった。戦時中を除き、春の中止は史上初、夏の中止は3度目で、春夏連続の中止は史上初の事態だ。
春の大会は中止になったものの、出場予定であった32校が甲子園球場で交流試合を1試合ずつ行うことが決まっている。日本一という目標を掲げることはできないが、甲子園の舞台に立つことはできる救済措置だ。ただ、その32校以外は、日本一はおろか甲子園に出場する夢すら断たれてしまった。僕自身が大会を楽しみにしていたのはもちろんだが、夢の舞台への挑戦権を奪われた高校球児たちの気持ちは計り知れない。
夏の大会は、地方予選も含めて日本高野連としての開催は中止となったが、各都道府県では代替大会の開催を模索している。イニング数の制限や無観客試合など、必要な措置を講じて、開催が決まった都道府県もある。山口県や宮崎県では、同じく中止となった高校総体の代替大会も兼ね、高体連と高野連が合同で大会を開催する。
一方で、代替大会の開催に伴う感染リスクを取り払えない懸念から、まだ開催の是非について慎重な議論が続いている都道府県もある。万全の体制を整え、できるだけ多くの球児が全力でプレーできる環境を用意してあげたい気持ちは、どの都道府県も同じであろうと思う。
プロを目指す高校球児にとっては、春夏の大会は球団へのアピールの場でもある。その場を奪われた球児たちのプロへの挑戦の道が途絶えることなく、各地方での代替大会などを通じて、道が開かれることを期待したい。そして、来年こそは、球児たちの熱戦を、はつらつとしたプレーを、また甲子園の場で見られることを願う。